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Bloody Painter(2013)
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 【英文】

【日本語】
これはヘイレン(ヘレン?)14歳の話。

彼の暗い目のクマは眠れなかったように思える。
自分のぼさぼさな乱れた黒髪を気にもせず、彼は身を整えるために多く費やすのはあまり
好きでは無かった。それは必要ない。

彼の教室での席は後ろ、窓際。彼はいつもそこに静かに座って絵を描いてる、
それがいつもの姿。
彼は周囲の人たちと交流するのを好まず、たった一人でいつも孤独だった。

教室の後ろで、地べたに押し付けられてる人がいた。
それはトム、常にいじめの犠牲者になってるが、彼が何かしたという訳ではなく、
何もしてないのに周りの人たちは何故か彼を嫌う。

それは頻繁に起こり、ヘイレンはそれに慣れていた。

トムに悪いと感じつつも、関わりたくない、面倒な厄介に巻き込まれたくなかった。

休み時間に、ジュディが腕時計が無くなった、と探していた。

ヘイレンは手伝わなかった、それは自分に関係ないことだから。

突然、ある人がヘイレンのバッグに何かが点滅してると見つけた。

「おい、これは?」バンが言った、彼はバッグの中に手を入れ、
フェイク・ダイヤモンドがついた腕時計を取り出した。
ヘイレンはそれを見てとても驚いた、
なんでそれがどうしてそこに入ってたか理解できない。

「ああ! それ私の腕時計!」
ジュディはそれを見るなりバンからすぐ時計を受け取った。
すると二人は奇妙な視線でヘイレンを見つめはじめた。

「違う、僕じゃない」
ヘイレンはそう言うと、うつむいてノートに絵を描きはじめる。
「ええ、そうだよね」
ジュディはそう言い捨てるとバンを教室に残して立ち去った。

次の日、相変わらずいつものように、ヘイレンは自分の机に座り絵を描く。
すると自分の周りの雰囲気が悪いと気がつく。
周りの人たちが彼についてヒソヒソと囁きはじめ、そしてさらに彼をこう呼び始めた。

「 シーフ(泥棒) 」

しかし彼は自分のためにそのことについて説明しないと決めていて、
好きに呼べばいい下らない、と思っていたから。

それほど時間がたたない内に、ヘイレンはいじめがしたい者たちの新しい標的になる。
彼がやることすべて誇張してバカにされる。
それが嫌だったが、抵抗しない。自分の心の中に感情を溜めこみ、沈黙し続けた。

ある日、バンが近寄ってきてノートを奪い、その描きかけの絵を見て、
「いつもこんな意味ない事ばっかやってんのかよ」
そして彼は描かれたページを何枚か引き裂きはじめ、作品をびりびりに破き、
ヘイレンの反応をうかがった。

絵を引裂かれ、ヘイレンの溜めこみ続けていた感情が爆発するように溢れだした。
彼はバンの顔面を殴り、そしてそのまま争いがはじまる。
しかしヘイレンに戦えるほどの筋力は無く、すぐ相手が殴り返してくる。

他の学生たちは争うのを見にやってきただけで、止めようとすらしなかった。
それどころか一部の学生は彼の顔や腹を足で踏みつけた。

ベルが鳴った直後、誰もがすぐにやっていたことを止めて教師が来る前に席に戻った。
ヘイレンも自分の席に戻り、あたかも何も起こらなかったように振舞った。

その後、教師は教室へ来てすぐ、
「やだ何、そこのキミ(ヘイレン)! 何があったの?」
ヘイレンにはすぐ目につく生々しい傷やアザがたくさんあった、教師は入ってすぐ気づいた。
その場にいた全員が彼へ振り向く、
酷い殺人的な表情で睨みつけながら彼が何を言い出すか誰もが待ちかまえてる。

「僕は階段から落っこちたんです、先生」
その睨みが消える答えをヘイレンは言った。

学校から帰ると、
両親からも何があったのか同じように尋ねられ、同じ答えをヘイレンは答える。
彼が着てる青いジャケットが生徒たちにやられた顔以外の傷やアザを隠していた。
だから彼の両親は疑うことなく信じた。
いつものように、ヘイレンの両親が「学校はどうだった?」と尋ねると、
彼はいつものように「問題ない」と言った。
そして「たくさん友達ができたよ」と嘘をつき、「毎日楽しく過ごしてる」と言った。

ヘイレンが両親にすら真実を伝えることを拒否したのは、二人に自分のことなんかで
心配させたくないためだった。

数ヶ月後、彼は自分に対する悪い評価に慣れてきて、もはや殴られ、屈辱を受けることは
普通のイベントのようになっていた。
このことから、今の彼は虐待に対する心の免疫ができていた。

しかし一体、誰が最初にこんな濡れ衣を仕掛けたのか?

犯人がしたのなら何故こんなことを?

だが、それはもはや重要なことではなくなった。
もう今となっては何の問題もないのだから。

「ねぇ! 今いる?」

ヘイレンはfacebookで知らないユーザーからメッセージを受信した。
「誰?」答えると、

「俺はトム、キミのクラスメート」
トムとは前から会話すらしたことない。だから少し驚いた。

「何の用?」ヘイレンは言った。

「えーと…キミ大丈夫?」

「キミに関係ない」そう言ってヘイレンはトムの質問を断ち切った。
トムはしばらく間を開けてから返事を返してきた。

「聞いて、俺は今キミがどんな気持ちか分かる。キミは俺と同じ立場にいる。
俺は本当にキミを助けたい、でも俺は何もできない…ごめん」

その後、トムとヘイレンは互いに文字を交わし、ヘイレンはトムが抱えるすべての痛みや
苦しみの気持ちが、彼が言うよりもとても良く理解できた。
トムと冗談を言い合えるようになり、笑顔を示す顔文字である“ : )” を使うことも
多くなった。

彼が心から友達を作ったと思えたのは、これが初めてだった。

ぽかぽかした暖かい天気の午後。

「午後、最初の授業の後、屋上へ会いに来てほしい。俺たちは話し合わないといけない。
今はまだ聞かないで」
昨夜、トムからのそのメッセージが届いた。

その指示に従い、ヘイレンは屋上でトムを見つけ、言われた通り手を振って彼の元へ
歩み寄りながら、
「やあトム! どうしたの、友達?」

「うーん……実は、俺は言いたいことがあるんだ……とても重要なこと……」
とトムは深刻な顔をしていた。
「覚えてるかな、あの時計泥棒の事件のこと?」

どうしてヘイレンがあの事件を忘れられるだろうか?
あれは彼の苦痛の始まり、けして忘れる訳がない!

ヘイレンは覚えてるとうなずく。

「俺が犯人なんだ!」

トムの目を見ると、彼の目は脅えていた。

 「なに?!」
ヘイレンはショックを受けた。

「俺がジュディの時計を盗んで、キミを犯人にしたんだ」

「どうしてそんなことしたんだ?」

「キミを奴らの新しい標的に、被害者にしたかったんだ。そうすれば俺は普通に
生活できると思った」
トムは薄ら笑いを浮かべる。

しかしそれはたしかに、誰もがヘイレンをいじめの標的にしたら、奴らはもうトムなんか
見向きもしなくなった。
それはまるで飽きられて捨てられたオモチャのようだった。

そして彼はすべて順調になった。
このまま沈黙し続けていれば、彼の学校生活は安全で健全なものになっただろう。
見事に成功した、計画は滞りなく非常に完璧だった。

ヘレンは彼のシャツの襟をつかみ、さらに、そのまま押しやり、彼らは屋上の隅の終わり
まで来た。
トムは滑って転んでしまい屋上から落ちた。
ヘイレンはすぐに彼の手を掴み、そして彼を引き上げようとしたが、しかしヘイレンは
それができるほど筋力が強くない。

「ごめんなさい、ヘイレン」

トムが落ちる。

ヘイレンは目を閉じて、どうなってしまったか見られなく脅えて怖がっていた。
6階建ての高い建物から落ちて、その後、何がどうなるか想像することすら恐怖で
できなかった。

警官が到着し、彼らはヘイレンから事情を聞こうとした。
彼は事故の途轍もない恐怖に襲われながら、しかし、やっと言葉をつぶやいた。

それで再び、ヘイレンは学生たちの話題の主題になった。

一部の人たちは、ヘイレンがトムを屋上から突き落とした、と思っているが、
しかし殆どの人たちは、トムは自殺したんじゃないか、と考え、ヘイレンは彼を救おうと
したが失敗した。
何故なら、トムが落ちる前にその手を掴んでいたのを見た人がいるため。

その夜、ヘイレンは部屋で泣いて、震えて、自分の中で大きくなってく罪悪感を止める
ことができなかった。
自分を落ちつかせる必要があったが、突然、ある考えが心に浮かんだ。

『トムが死んだのは僕のせいじゃない。彼は死んで当然だ!』

それは気分がはるかに良くなり、罪悪感も消え去った。
ヘイレンはぞっとさせる不気味な微笑をした。

「トムは相応しい罰を受けたんだ……僕は、他の奴らも自分たちの償いをするべき、
その時間が来たと思う、そうじゃないか?」

彼の泣いていた叫びは、暗闇の中で笑い声に変わった。

ヘイレンの同級生たちはハロウィーンの日にパーティーをすると決めていた、
それはハロウィーンを祝うのではなく、自分たちのトモダチを招待し一緒にはしゃぐため
パーティーするだけにすぎない。

もちろん、ヘイレンはそのパーティーに招待されなかった。

ハロウィーンの日の前夜、ジュディとマギーはfacebookで互いに話し合っていた。
どちらも学校の寮に住んでるが、ジュディの部屋はマギーの隣だった。

21:03-ジュディ: 誰が明日パーティーに来る? 私とっても興奮してる : D

21:03-マギー: 私たちのほとんどクラス全員であります。
       でも、バンに何度もメールしてるのに、送ったのぜんぶ既読してても、
       アイツ返事くれないんだけど。アイツ地獄に落ちた訳?

21:04-ジュディ: 彼はたぶんバイトか何かで忙しいんじゃないかな、私はそう思う

21:06-マギー: なんか変、すごく奇妙なことが起きてる……
       足音が聞こえて、私のドアの前で長く止まってるんだけど……
       誰かが寮の周りを歩いてるのかな

21:06-マギー: 待ってて、ちょっと見てくる

(ドアの覗き穴から、マギーはなんと言うか奇妙なものを見たらしい…)

21:07-マギー: ウソみたい信じられない!
       外にお面と青いジャケット着たヤツがいて、ナイフを握ってるの。
       それに、“そいつ全身血まみれ!”

21:07-マギー: やだf * * k! 今ヤツがドアをノックしている

21:08-マギー: ああどうすればああどうすればああどうすれば!!

21:08-ジュディ: すぐ落ちついて、そして武器か何か探して

21:08-ジュディ: 自分を守って!

21:09-マギー: ヤツがドアノブ回してる、鍵かけてて良かった

21:09-マギー: 私怖い!!

21:09-ジュディ: マギー

21:09-マギー: 私何したらいい?!

21:09-ジュディ: マギー、聞いて

21:09-マギー: 私を助けて!

21:09-ジュディ: マギー、落ち着いて

21:09-ジュディ: マギー

21:10-ジュディ: マギー?

21:10-ジュディ: そこにいるの?

メッセージは表示され相手に伝わってるが、ジュディへマギーからの返事はない。
突然、ジュディは自分の部屋のドアが開けられた音を聞く。

彼女が振り向くと、その戦慄で胃にひどい痛みを感じた。
血まみれのその人は仮面と青いジャケットを着ていて、部屋に押し入ってくると、
彼女を刺した。

その夜、寮にいた生徒全員が殺害された。
それをした人殺しがどうやってやったのか誰にも分からなかった。
(殺害方法はシンプルであるが、死体損壊の方法は今も解明されていない?)

その殺人鬼は犠牲者の血を使って寮の壁に落書きをし、描かれたもので分かるのは
":)"の顔だった。

すべての遺体はいくつも切り刻まれ、磨り潰されていたのは、
おそらくより多くの "顔料" を得るためだろうと思われる。

ヘイレン・オーティス、犯人は、現在も行方不明。

しかし、ジュディとマギーが会話し合っていたメールチャットルームには、
ジュディが最初に送った21:03のメッセージに返事が書かれていた。

 『 23:15-ジュディ: 興奮することはないよ、明日は :)

何故ならば、そうなれる明日なんて二度と来ないのだから。
原作者:DeluCat
和訳転載元


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